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 1956年埼玉県生まれ。現在は主に舞台(劇)音楽の作曲を中心に活動しています。
 何故、劇音楽なのか…。いくつか心当たりはあるのですが…かつて東京音楽大学作曲科在学中、天井桟敷の作曲家J.Aシーザー氏の音楽制作に協力する機会があり、メロディーとコードネームだけの世界がイメージだけでどんどん膨らんでいく様に刺激を受けました。この経験が僕の音楽と演劇が近づいていくひとつの要因になっている気がします。
 大学卒業後は大学の恩師であった池辺晋一郎氏のアシスタントとして本格的にプロの世界に足を踏み入れることに。池辺氏の音楽は多岐にわたり、その仕事現場もオペラ、映画、TV、演劇と、毎日が刺激の連続でした。思えばその頃、アシスタントの仕事の中でも特に演劇に興味を持つようになってきたのです。印象深い記憶としては、当時舞台監督をしていらした菊池准氏から、ある日「上田さんは歌の先生なの?」と声を掛けられ、気がつくと、菊池氏とはもちろんのこと、今までに、多くの演出家、作品と出会い、演劇やミュージカルを一緒に作らせていただきました。
 また、文学座の西川信廣氏と(以前から知り合いであったのですが)劇団昴の「エデンの東」で、それぞれ演出家と音楽家として再会。以来今までたくさんの氏の作品に関わらせていただいています。そしてその頃、巨匠の故熊井宏之氏は、面白がって若い私を使ってくださって、多くの貴重な経験を得たものです。
 一方、1988年のサントリー・ガラ・コンサートでお会いした、アラブ音楽の第一人者ハムザ・エルディーン氏からは、音楽的な影響を受けたことは勿論、生きていく為の哲学も教えていただきました。「上田、人間はいつも赤ん坊なんです」と言った彼の言葉からは「全てが今ここから始まるんだ」という優しさと強さを感じたものです。その彼も2006年に惜しくも亡くなり、翌年日本で開催された追悼コンサートの際は音楽監督を担当させていただきました。その際ハムザが私にとって大切な存在であることを再認識したことを思い出します。
 そしてもう一つ大きな変化のきっかけといえば、2003年に日生劇場40周年記念のオリジナルミュージカル「みどりのゆび」を手がけさせていただいたこと。その時に脚本と演出を担当された梶賀千鶴子氏とは、偶然にも同じ年に劇団わらび座の作品でもコンビを組むことに…。そのことが縁で、梶賀氏のほか仙台のプロデューサーやミュージシャンたちとの交流ができたり、2009年に作曲したミュージカル平泉「夕焼けの向こうに」では作曲も担当しました。梶賀氏との出会いは「創作ミュージカル」という分野で、自分に多くの発見や驚き、面白さを再認識せしめ、更には自信に繋がりました。自分の考えるミュージカルを作る。以前から抱いていた夢はそろそろ実現する時期になったのかも知れません。
 今、私の音楽人生、演劇人生は全て人との出会いから成り立っているのだとつくづく感じています。このたび倉林誠一郎賞という演劇スタッフの為の賞を頂きました。
 「劇音楽」という分野を評価していただいたことを大変光栄に思うと同時に、これは今まで出会って、私を支えてくださって来たたくさんの素敵な人たちの顔が浮かんできました。日ごろから、お世話になっているみなさんには手紙もめったに書かず、目の前の仕事にかまけて不義理ばかりの私です。そんな皆さまに感謝とご報告を、そしてまだ見ぬ皆様との出会いを願いをこめて、このホームページ立ち上げを思いついたわけです。